コロナ渦での雑感(千葉理弁護士)
コロナ禍の中、第二東京弁護士会の副会長の任を拝命し、早くも6ヶ月が過ぎました。任に着いた早々、緊急事態宣言が発せられ、弁護士会館が閉鎖されほとんどの弁護士会業務が停止せざるを得なかった中で、最低限の弁護士会の機能を如何に維持させるかといった、過去に誰も経験したことのない状況への対処に苦慮していた時期に比べると、今はようやく落ち着きを取り戻し、本来の副会長業務を行えるようになってきた感があります。
私は副会長として、綱紀委員会、紛議調停委員会、NIBEN若手フォーラム、弁護士業務センター、民事介入暴力対策委員会、高齢者・障がい者総合支援センター、犯罪被害者支援委員会、司法制度調査会等の多くの委員会を担当しています。また、今年度は関東弁護士会連合会の常務理事も兼任しています。
クライアントの皆様には、多少ご迷惑をお掛けすることがあるかもしれませんが、そこは当事務所の他の弁護士にしっかりフォローをお願いし、来年3月までの残りの限られた任期を充実させ、第二東京弁護士会の発展に貢献したいと考えています。
さて、副会長としての話はさておき、個人的にこのコロナ禍の経験を通じて、強く実感していることがあります。それはスポーツ・映画を含む芸術文化と接することが、如何に私達の生活に必要不可欠だったのだなということです。私は、なんとなく評判の映画、オペラ、ミュージカル、美術館に足を向けるようになり、いつの間にか趣味になって来た程度でそれなりの見識があるわけではないのですが、コロナ禍でこれらのイベント等に接することができない状況に直面し、こういった文化的なイベントに如何に今まで精神的に支えられ、癒やされ、また仕事のストレスとのバランスを取れたのかを実感しています。ドイツのメルケル首相はその演説でいち早くコロナ禍での、芸術・文化の必要性を主張したことが話題となりました。さすがヨーロッパの芸術大国の首相です。
映画館、美術館やライブイベントでは、色彩、造形、映像や音が会場に満ちあふれて、参加者は、互いに何の区別もなく、視覚・聴覚が刺激されその経験を共に過ごすことになり、この共有体験に感動します。すべての人が、区別されることなく、圧倒的な発信力で共有体験をもたらすことが、芸術文化の大きな力です。これからリモートワークやWEBコミュニケーション技術の普及で人と人の交流が希薄になることが懸念される中、また昨今の分断しがちな世界情勢に鑑みると、このような共有体験をもたらす芸術文化に意識的に接することがますます必要になってくるように思います。我が国でも新しい政権からこの重要性を国民に発信され、芸術家や演奏家等への支援の為の大胆な政策が展開されることを大いに期待します。